京都のヤブイヌ 子供たちの旅立ち~その1 ぼくらは家族
京都市動物園のヤブイヌさん7頭のファミリーのうち4頭がよこはま動物園ズーラシアに今日3月12日に移動します
旅立つ彼らを見送るイベントが3月9日にありました。
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ガイドが始まります。様子を見つめるケンタ(左)とヤス(右)
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飼育員さんが手にしているのは、動物飼育の専門学校生の方が作られた、ほぼ原寸のヤブイヌぬいぐるみ。指の間の水かきも再現されていて、よくできていました。
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ここから、彼らを育て上げた担当飼育員さんから、彼らファミリーのこれまでの歴史についてご説明がありました。
※この記事では、ガイドで使った写真とともに、ガイドのお話の筋に沿って、私が過去に撮った写真も含めています。私が撮影した写真は、撮影日をキャプションに入れます。

事情があり4つの群れに分かれて暮らしている7頭ですが、彼らは家族なのです。
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昔、京都には、ガイアナからやってきたガイ♂が暮らしていました。2008年3月、ガイがズーラシアに移動し、それと入れ替わりでケンタ♂(当時2歳)とコモモ♀(当時2歳)が京都にやってきました。これが、現在の京都ヤブイヌファミリーの始まりです。
当時のヤブイヌ舎は、とても年季が入った施設で、網もきわめて厳しいのでした。
(2009年7月4日)
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そこで私が見た彼らは、いつもいっしょに行動しているなぁ、という印象でした。
眠るときもくっついて。
(2010年1月23日)
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そうこうしているうちに、2010年2月9日にケンタとコモモに3頭の赤ちゃんが生まれました。でも、1週間もしないうちに、調子が良くなかった1頭が亡くなってしまいました

この日のガイドは、当時、弱っていき亡くなった赤ちゃんを前に飼育員さんがどういう風に考え対処されたかなど、うまくいかなかったことも含めて飼育のありのままを伝えてくださる内容でした。言いにくいこともあったと思いますが、貴重なお話を聞かせていただいてとても感謝しています。
当時は、弱っている赤ちゃんを人間が取り上げた場合に、他の元気な赤ちゃんたちにも危害がおよぶ恐れがあると判断され、助けることができなかったそうです。
そして、巣穴の中をビデオカメラで観察していると、両親が亡くなった赤ちゃんを食べてしまったそうです。亡くなった赤ちゃんの臭いは、捕食動物を引き寄せます。残った赤ちゃんの安全を守るための、動物の本能。重い話ですが、そのような行動が観察できたことは貴重だと思います。

巣穴から出てきた赤ちゃん
(2009年3月20日)
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(当時の動画

そして、京都らしいというテーマでお名前が公募され、ヤスくんとドスエちゃんと命名されました。
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当時「ドスエ」のインパクトは強烈でしたが、もうすっかり慣れ、愛着も湧くようになりました(笑)。

ヤスくんとドスエちゃんと両親
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コモモは2010年1月9日に2回目の出産をしました。4頭生まれたものの低体温で1頭が亡くなり、他の赤ちゃんたちも次々と低体温に。両親に任せたかったけど命を救うため、結局取り上げて、お湯で温めてマッサージするなどして3頭を無事救命。そして、彼らはそのまま人工哺育となりました。
(当時のブログ記事 その1その2

巣穴の中の赤ちゃん(モニター画像)
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そして彼らも投票により京都にちなんだ名前をつけてもらいました。ハンナちゃん、マロくん、ダイモンくん
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人工哺育で育った彼ら3頭。、両親の元に返す取り組みが始まります。
同居前のお見合いの様子
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イヌの仲間は、父親も子育てに参加します。子供が鳴くと父ケンタが餌を吐き戻していたとか。今でもヤスくんは時々ケンタに甘えているように見えるのですが、その時以来かもしれません。
左:ケンタ 右:ヤス
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ヤブイヌは、お兄ちゃんお姉ちゃんが子育ての手伝いをする(ヘルパー)習性があります。
ヤスくんとドスエちゃんが実際に赤ちゃんを連れ出しているところ。
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お兄ちゃんお姉ちゃんが赤ちゃんを連れ出すと、両親がまた連れ戻すの繰り返し。ヘルパーがいるがゆえに、ケンタとコモモは苦労したそうです。

でも、人工哺育の赤ちゃんたちは、ケンタとコモモを仲間と認識できません。両親や兄姉に威嚇。途中まで両親や兄姉はずっと我慢していたけれど、最終的には反撃してしまったとか。
そういう経過をたどり、現在は赤ちゃんと、両親・兄姉が分かれて暮らしています。


ハンナちゃん、見返り美人
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マロくん
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左:ハンナちゃん、右:マロくん
ハンナちゃんの方が「しゅっとした」美形。 マロくんはちょっと幼い感じ。
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ダイモンくん。彼は、ハンナちゃん、マロくんを噛むくせがあり、分けられてしまったとか。
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両親や兄弟とは同居できなかったけど、この3頭同士は仲が良いのです。網越しにダイモン(左)と挨拶するハンナ(右)、マロ(手前)。
ヤブイヌは年を経ると背中の毛の白い部分が増えてきます。この3頭は同じ日に生まれたのですが、色がこれだけ違うのは興味深いです。ハンナちゃんがもっとも大人っぽい。
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この日のガイドでもっとも印象に残ったのが、ヤブイヌたちにとっての家族の絆です。
たとえ暑くてもいっしょにくっついて寝ます。いっしょにいるのが家族なのです。
(2010年8月10日 ケンタとコモモ)
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現在は、♂と♀の群れにケンタ・コモモは分かれていますが、子供たちが引っ越した後、同居させることを考えられているそうです。彼らはもう結構な年齢です。健康で暮らせますように。

左:コモモ 右:ドスエ
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人工哺育の2つめの赤ちゃんたちも、子供同士では仲が良いということで、他の群れの個体のヤブイヌさんとなら仲よく慣れるかもしれないという希望が持てます。ヤス、ドスエだけでなく、ハンナとマロがズーラシアで家族を設け幸せに暮らせることを願っています。
また将来京都に新しい個体が入ってくる(または誕生した)時に、京都に残ったダイモンが仲良くなれますように。


つづく
(3月9日撮影)
by rakudateikoraku | 2014-03-12 04:02 | 食肉目 | Comments(0)
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