大森山のトナカイたちの夏2018~その3 科学の力でトナカイを守る
トナカイのテスト放牧、2日目も見学に行ってきました。

旧とりっこの水辺の全景です。
初日は風雨の中のテスト放牧だったのですが、このタイミングでは青空が見えていました。
でも気温はこの時期としてはかなり低めでした。
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今日は元気くん(手前)一頭でのお散歩です。
同居しているルドルフくん(奥)、当然今日も一緒に行けると思い込んで必死にアピールしていましたが、今日はお留守番。
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やっぱりリードたるんでいます。
ここにはトナカイは元気くん一頭しかいませんが、「群れのリーダー」である柴田さんに自発的についていくのです。
(安全管理上リードはつけます)
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旧とりっこの水辺へ入っていきます。
一般客である私は今日も外から見学です。
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今日もたっぷり自然の草を食べてくれました。
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前日のテストを踏まえて、この日は最初から柴田さんが対岸で元気くんを呼んでいました。
元気くんの遊泳の様子をご覧ください。



二日連続成功。元気くん、ママがいなくてもソロで立派に泳げることを証明してくれましたね。
2016年に元気くんがテストした際は、まだ対側は岸から上陸できたのです。
でも今は護岸工事され、安全管理のためネットが張られていて上陸はできません。
せっかく対岸まで泳いできたのにまた帰っていったのは、元気くんは上陸できないのを理解したのかもしれません。


さてこの水辺での放牧をしているときのトナカイは、素人が見ていても直感的に幸せそうに感じますし、魅力がいっぱいです。
しかし動物の幸せを追及する取り組みは、漠然と行っていても継続・展開が難しくなります。
これからの時代は、動物の状態や取り組みの効果を可視化し、科学的に評価することが求められています。

暑さに弱いトナカイの体温の状態の監視、以前であれば目視やトナカイの呼気を肌で感じるなど
飼育担当者の経験に基づいた方法で行われていました。
今の大森山では、園内数か所の温度センサーの他、トナカイの首のところに皮膚の温度センサーを装着してあり、
数分間隔で自動的に測定し無線でサーバーに送信して記録されるシステムが構築されて使われてきています。

2016年に行われた大森山動物園、岩手大学、株式会社アーズの共同研究(大森山Facebook記事)で、
暑さに弱いトナカイの体温実態を調べようという取り組みが行われました
この際に構築されたシステムが調整改善されてきました。
当時は雁来ちゃん一頭にセンサが装着されていましたが、
遊泳に参加していたサクラちゃん、元気くんには装着されていませんでした。

今年は、ルドルフくん、元気くん、雁来ちゃんの3頭にセンサーが装着されています。
センサ装着場所も試行錯誤を繰り返し、トナカイが活動しても遊泳しても安定して温度測定できるこの場所になったそうです。
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多くの動物の状態は体重測定で行われていました。最近はいくつかの動物で定期的に体温測定を行う園が増えていますが、
測定頻度はそれほど多くありません。

このシステム、夜間や休日なども含めて、担当者が人力で確認したり、確認できない時に想像に頼るのではなく、
はるかに細かいメッシュで常時動物の状態を確認できます。
サシバエがひどくてトナカイさんが暴走しているといった突発的な事象も、体温の変化により発見して対処したり、
なにかあった時に後から検証することが可能になります。

このセンサーは測定しやすい皮膚の温度を測定するものですが、動物の体温として測定されるのは一般的には直腸温です。
しかし直腸温をリアルタイムで測定するセンサーも既に開発されていて、トナカイでのテストも実施済とのことです。
皮膚温と直腸温を組み合わせれば、皮膚温でのモニタリングが体温管理でどの程度の精度なのかも評価できます。

測定した温度の推移は、いつでもどこでも、スマホなどで確認することができます。
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この写真では少しわかりにくいですが、元気くんの体温センサーの温度は、この日の遊泳中1度くらい下がったことが
わかりました。このテスト放牧の日は気温があまり高くなかったし、若い元気くんにはサシバエがまだあまり
つかない(ルドルフくんにはたくさんついていました)し、放牧・遊泳の効果はこの程度でした。
しかし、より気温が高い日やサシバエ被害がひどい状況のときには、放牧・遊泳はもっと効果が期待できるでしょう。
またそれを科学的に評価する基盤もできたことになります。

今後この基盤での取り組みのデータが蓄積されたり基盤を生かした研究が行われて、
取り組みが発展したり展開していき、トナカイたちが幸せに暮らしていけることに大いに期待です。


昔の感覚では、仕事中にスマホ見てたら怒られるところですが、
これからは飼育に欠かせないツールとして活用される時代が来るかもしれませんね。
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(8月7日撮影)

by rakudateikoraku | 2018-08-09 16:31 | 偶蹄目 | Comments(0)
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